不動産の所有権の移転はいつなのだろうか?

意思主義を採用すると、代金の支払い、登記の有無、引渡し、等に関係なく、売買契約が結ばれたときに所有権が移転したとみなすべきである。
ただここで次のような特約が売買契約時のになされていた場合は、どうなるのだろう?
即ち、売買契約時には手付金のみが支払われ、そして残りの代金が支払われて初めて所有権を移転するものとする、といったような特約が売買時にあった場合である。
このとき、手付金のみの支払いが行われ所有権移転登記が行われたとする。しかし、銀行から融資が受けられないといった事情により、残りの代金が支払いができずに錯誤等を原因として、所有権をもとの所有者に戻した場合、所有権は一旦は移転したとみなせるのだろうか?


そもそも、売買契約時の特約は有効なのか?意思主義によれば契約が結ばれた時点で所有権が移転するんだから、特約は意味をなさない?それとも、「特約」も両者の意思だから、尊重されるべき?

あと、仮に、特約が有効だったとしても登記をしてしまった、ということについてはどうなのだろう?登記は対抗要件に過ぎないから、所有権は移転してないのか?
でも、両者の合意(意思)のもと、所有権移転登記をしたわけだし・・・意思主義によれば、一旦は移転したとみなせる?このばあい、要素の錯誤があれば所有権の移転は無効だが、融資を受けられなかったことは要素の錯誤にあたり無効?(そもそも、あたるのか?)


内田貴民法Ⅰ』をよんでみたところたしか、「所有権の移転は売買契約成立時である」という判例と「代金支払い時(登記完了時)である」という判例が紹介され、それにくわえ、所有権を権利の束のようなものと捉え、移転開始時から終了時まで徐々に移るという考えも示されている。

有力な判例・通説はないんだろうか?