メモ  知識と生産性について

 知識はいったん発見さえされれば、通常は、社会的に承継され、容易に利用できる。
 たとえば、三平方の定理ピタゴラスがひとたび発見・証明され社会的に認められたあとのわれわれは、その証明が出来なくとも、それを利用し、三角形の一辺を求めることが出来る。*1
 定理の発見・証明とその利用は別のことである。
 ピタゴラス以降の人間は、三平方の定理の発見・証明のプロセスを得ずして、その時間を省略して、定理を利用できる。
 このことで、時間が大きく節約できる。
 定理を証明しようとすれば、時間が失われる。
 ここで、極端に時間が希少だとすれば、定理を証明しようとすることと、それを利用することは、トレードオフとなる。
 そして、定理の利用によって初めて目的が達成できるとすれば(三角形の一辺がわかることではじめて便益が得られる)、定理を証明することは時間の無駄である。
 以上のことから、時間が希少なほど証明することの機会費用が大きくなる、といえる。 

*1:三平方の定理が発見される前にも、古代エジプトで縄をうまく使って、三角形の一辺を求めていた、といった話をなんかで読んだ記憶もあるが、ここではとりあえずそういった事情は考慮しない。